歴史
古代からブドウが宿る地
二千年以上の歴史を持つ地帯。 美味しいワインを探すだけでなく、その古くからの歴史を訪ねて、楽しく散策できる場所です。 ピノ・ネーロ、バルベーラ、ボナルダ、モスカート、リースリング、コロアティーナの品種が栽培されているブドウ園が並ぶなだらかな丘陵地帯は、昔からワイン醸造がおこなわれてきた気品ある土地として風景を構成する、豊かな歴史を育んできたのです。
「美味しいワイン、
もてなしの良い人々、大きな木の樽」
ストラボン、紀元前40年
ワインの起源
オルトレポー地帯におけるブドウの木の存在を証言する最も明白な資料は、1876年の『Bollettino del Comizio Agrario Vogherese』(ヴォゲーラ農業委員会通報)です。この通報は、化石になった
ギリシャ出身の歴史家・地理家であったストラボンは、エミリア街道に沿って、ピアチェンツァと
土着ブドウ品種の数
オルトレポー・パヴェーゼのブドウ栽培面積(ヘクタール)
豊かな農業の歴史
オルトレポー・パヴェーゼの土着ブドウ品種の詳細なリストとして、ジュゼッペ・アチェルビ教授が1825年に出版した著作


昔の時代(と昔の民族の)ブドウ
アドリアノ・ラヴェニャーニは自らの書である『I vini dell’Oltrepò Pavese』(仮訳『オルトレポー・パヴェーゼの全ワイン』、1974年、Gabriele Mazzotta 出版)で次のように記しています。 「人間が記憶している限り、ブドウの栽培は、このイタリアの甘美で豊潤な地域における特性であり、存在理由となってきた。 誰がオルトレポーにブドウの木を持ち込んだかは確かでない。一説では、紀元前6000年から4000年に年代推定されるものが発掘されたアルメニア、ジョージア、メソポタミアから来たとされている。アーリア人たちは、海や川を通じて移動し、このオルトレポーの地に定住したとするものである。 他の学者は、ヨーロッパに、したがって、今日イタリアと呼ばれる地域も含まれるが、地元の土着ブドウ品種が育ったとしている。 これらの二つの説は、しかしながら、一致・共存する可能性がある。」
ワインは後に到来
アドリアノ・ラヴェニャーニは、ワインは後に到来したとして、次のように書いています。 「最初の文献による記録は聖書であり、人類の歴史で最も有名な酩酊だ。…ノアは農夫となり、ブドウの木を植えた。 そしてブドウ酒を飲んだので、酔った…」 (Genesi, 9,18-21).(創世記、9章18節~21節)。
「酒神バッカスは丘陵を愛する」という民間のことわざがあります。 まさしく丘陵こそが、満足できる日照条件がある場合に、陽光の恵みを最高に享受し、実の中に後にワインに取り込まれるアロマや香りを蓄えることを、ブドウに可能にするのです。 丘陵が鍵なのです。 そして、オルトレポー全域が、新生代に属する、肥沃な丘陵地帯なのです。 農業土壌学的には、石灰質に富んでいますが、二酸化硫黄とカリウムを十分に含有しています。一般的なのは、石灰石と泥灰や粘土を含む片岩の混合土壌です。
試飲に値する興味深い歴史
オルトレポーには、今も、非常に嬉しいことに、クラシックな発泡性ワインであるスプマンテ(かつてはここでも「シャンパン」と呼ばれました!)を始めとして、発泡性ワインの業界において、他よりも先に名を馳せた歴史のある醸造所が存在します。 中でも古い歴史を持つのが、1850年創立の Conti Vistarino 社で、 昔から「ピノ・ネーロの家」とみなされ、 この品種の栽培に特に適しているとされるスクーロパッソ(Scuropasso)渓谷にあります。 コデヴィッラ(Codevilla)には、ドメニコ・マッツァ工学士の1848年創立の Montelio 社があり、スプマンテ専用のボトルを導入したことで知られます。 これもまた、オルトレポーが打ち立てた業界初記録でした。 ワインの業界初記録を調べてみると、イタリアで初めて妥当なテイスティングシート(イタリア ワイン醸造技術協会のセルナジョット方式)を考案したのが、エミリオ・セルナジョット(Emilio Sernagiotto)であったことがわかります。 1950年代のことでした。 このオルトレポーのカステッジョ村出身のワイン醸造技術の専門家であったエミリオ・セルナジョットは、 「ワインを試飲することは、私たちが持っている感覚のすべてを使うことで、合理的に偏見なしに調べて、体系的な分析を通じて、そのワインの長所と短所を分類することを意味する」と主張しました。
オルトレポーのブドウ栽培はいつから?
オルトレポー地帯におけるブドウの木の存在を証言する最も明白な資料は、1876年の『Bollettino del Comizio Agrario Vogherese』(ヴォゲーラ農業委員会通報)です。この通報は、化石になった 「caràsa」、 すなわち、長さ25cm、直径6cmのブドウの幹の化石化したものがカステッジョ(Casteggio)(昔の Clastidium)村の近くで出土したことを報告しています。 さらにオルトレポー地帯におけるブドウ栽培について書いた最初の文献を探すと、紀元前60年から紀元後20年まで生きたストラボンが見つかります。ストラボンは、紀元前40年にオルトレポー地帯に立ち寄ったことを記録する中で、 「美味しいワイン、もてなしの良い人々、大きな木の樽」について書き記しています。
ギリシャ出身の歴史家・地理家であったストラボンは、エミリア街道に沿って、ピアチェンツァと 「Clastidium」(クラスティディウム)の間に、広がっていたオルトレポー地帯について、次のように書いています。 「これらの場所が素晴らしいことの証拠は、人々が集中していること、都市が大きいこと、豊かであることだ… 耕された土地は多量で多様な作物をもたらしている… ワインの量が豊富なことは木で作られた、家よりも大きい樽で示されている…」
ワインの歴史とオルトレポーの歴史との関係とは?
オルトレポーにおけるワインの歴史は、ブドウ栽培・ワイン醸造を営む世界の他の多くの場所と同じように、ここに多く存在した城塞や修道院の痕跡である塔や要塞の歴史と互いに関連しています。 ワインと魔術(そして、人間の健康のために食品と自然を結ぶもののすべて)においては闇の時代であった中世の時代でさえ、教会と修道院がある地域では、聖なるミサに使用されるワインを造るためにブドウが栽培されていました。 既に経済収入源の一つとなっていました。共同体の需要に応じるために販売することで、日曜日のための美味しいワインを造ることの重要性がしだいに増していったのでした。
オルトレポーの土着ブドウ品種はいくつ?
1884年の時点でオルトレポー・パヴェーゼに存在していた土着ブドウ品種の数は225種でした。 今日では、失われることがなかったものと再発見されたものを合わせて、12種を超えます。 オルトレポー・パヴェーゼの土着ブドウ品種の詳細なリストとして、ジュゼッペ・アチェルビ教授が1825年に出版した著作 『Viti Italiane』 (仮訳『イタリアのブドウの木』)に記載されたリストが伝えられていまが、実質的には、1550年という、この本よりも前のもので、そのインスピレーションの源泉となった、アンドレア・バッチ(Andrea Bacci)が書いた 『De Naturali Vinorum Historia De Vinis Italiae』(仮訳『ワインの自然史、イタリアのワインについて』)があります。 アチェルビ教授の著作に戻りましょう。彼の言葉をそのまま引用する価値があります。「この地で実践されているブドウ栽培に称賛」していると述べ、 そして、ブドウ品種については、地域特性の点で彼が大きな興味を持っていた「ピニョラ(Pignola)」という名前でよく知られていた品種のブドウについて、 「甘味と苦味の間の優れた味というこの上なく絶妙な味で、輝くような色と豊富な泡がある上品なワインを生み出す品種」であると描写しています。
偉大なワインの緯度について
偉大なワインができる緯度にあるオルトレポーは、ブドウの房の形を持ち、イタリアのブドウ栽培・ワイン醸造の故郷と考えられています。 オルトレポーは、世界の偉大なワイン生産地域に共通する北緯45度軸上に位置しています。 特に世界の偉大なワインに理想的な緯度とされています (参考文献)。 イタリアのワインを訪ねて旅をするイタリア放送協会 RAI 2 チャンネルの番組「Signori del Vino」がロンバルディア州に旅程を組み、伝統と文化の歴史を語っています。 取材に当たるマルチェッロ・マージとロッコ・トルファがオルトレポー・パヴェーゼを取り上げ、このブドウの栽培地の心臓部で非常に古くから栽培されている土着品種クロアティーナの歴史をたどります。ブドウ栽培の最古参者で語り手である「バルバカルロの主(あるじ)」ことリノ・マーガ、そして、兄のクリスティアーノと力を合わせてワインの伝統的価値を最大に引き出すセルジョ・アニェスが案内役を務めます。
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謝辞と典拠
【写真提供】ロンバルディア州立農林業サービス機関(ERSAF)アーカイブズ、オルトレポーワイン保護コンソーシアムアーカイブズ、マリオ・ディディエ、ルチャーナ・ロータ 。
【参考文献】Adriano Ravegnani 著 『I vini dell’Oltrepò Pavese』(1974年、Mazzotta 出版)、Mario Maffi、Lorenzo Nosvelli 共著 『Storie e vini dell’Oltrepò』(2008年、Edo 出版)、Bibenda 出版、Mario Soldati 著『Vino al vino』(2006年、Mondadori 出版)、Marcello Masi、Rocco Tolfa 共著『Signori del vino』(2016年、Rai Libri 出版)。
